ATLAS DOCTOR'S NOTE
膝のレントゲンは、なぜ立って曲げて撮るの? ローゼンバーグ撮影の意味
膝を曲げて立つレントゲンには、関節のすき間を詳しく評価する意味があります。ローゼンバーグ撮影を図解し、膝痛の治療を考えるうえで重視する理由を解説します。
治療を考えるための「ローゼンバーグ撮影」
膝のレントゲン撮影で、「立ったまま、少し膝を曲げてください」と言われたことはありませんか。この姿勢には、膝の状態を詳しく調べるための意味があります。
同じ膝でも、撮り方によって見え方が変わります
膝の関節には、骨の表面を覆う軟骨や、クッションの役割をする半月板があります。レントゲンでは軟骨そのものを直接見ることはできませんが、骨と骨の間にある「関節のすき間」を、軟骨などの状態を推測する手がかりにします。[4]
このすき間は、体重がかかっているか、膝がどのくらい曲がっているかによって見え方が変わります。膝を伸ばした画像だけでは目立たなかった狭さが、曲げて撮影すると分かりやすくなる場合があります。[1,2]
立って膝を曲げる、ローゼンバーグ撮影
ローゼンバーグ撮影は、立って体重をかけ、膝を約45度曲げて撮るレントゲンです。膝の後ろ側から前側に向けてX線を当てます。膝を伸ばした撮影とは異なる条件で関節のすき間を確認し、変形性膝関節症などの評価に役立てます。[1,3]
膝を伸ばした立位撮影
膝を伸ばした状態で、関節のすき間や骨の形を確認します。
ローゼンバーグ撮影
屈曲位での関節のすき間を確認し、伸ばした画像では分かりにくい狭さを評価します。
「何を評価するために、どう撮るか」です。
当院がこの撮影を重視する理由
当院では、膝痛のレントゲン評価にローゼンバーグ撮影を組み込んでいます。関節のすき間がどの程度保たれているかを把握することは、手術を含めた治療の選択肢を検討する際の、大切な判断材料になるためです。
ただし、画像の見え方だけで治療を決めるわけではありません。痛みの程度、膝の動き、歩行や階段での困りごと、診察所見などを合わせて判断します。レントゲンの所見を患者さんと共有し、生活や希望も踏まえて治療方針をご相談します。
※関節のすき間は軟骨だけを直接測定した値ではなく、半月板や撮影条件などの影響も受けます。痛みなどで立ったり膝を曲げたりすることが難しい場合は、撮影前にスタッフへお伝えください。
参考文献
[1]Rosenberg TD, et al. The forty-five-degree posteroanterior flexion weight-bearing radiograph of the knee. J Bone Joint Surg Am. 1988;70(10):1479–1483. PubMed
[2]The posteroanterior 45 degrees flexion weight-bearing radiograph of the knee. J Arthroplasty. 1995;10(6):790–792. PubMed
[3]Babatunde OM, et al. The Combination of the Tunnel View and Weight-Bearing Anteroposterior Radiographs Improves the Detection of Knee Arthritis. Arthritis. 2016;2016:9786924. 論文
[4]American Academy of Orthopaedic Surgeons. Arthritis of the Knee. OrthoInfo
執筆:アトラス整形外科 千駄木リウマチ・スポーツクリニック 院長 滝田 泰人(日本整形外科学会専門医)
※この記事は一般的な医学情報です。症状や治療法は患者さんごとに異なりますので、 個別の判断は診察を受けたうえで主治医とご相談ください。